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2011年05月21日

震災復興酒 希望の光 日高見

宮城県塩竃市の相原酒店さんからお酒が届きました。

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宮城県の酒造好適米「蔵の華」で造った特別純米酒” 大和伝”と”阿部勘”。
純米酒”乾坤一”。そして”震災復興酒 希望の光日高見”です。

相原酒店さんは、今回の震災で店舗が津波の被害にあって壊滅状態になりました。
そして2ヶ月たった今、仮店舗の営業を目指して頑張っておられるたいへんな状況
のなかで、ホームページからの注文に応えて商品を発送してくださいました。

宮城や岩手の酒造店も大きな被害に遭ったところが少なくありません。
”日高見”の平孝酒造も石巻で甚大な津波被害に遭いましたが、その時に
被災したモロミが偶然の積み重ねで生き延びて、この「希望の光」が出来上がりました。

hidakami0.JPG

hidakami01.JPG


そのいきさつが裏のラベルに書いてありましたが、少し読みとりにくいと思いますので、
下記に記してみます。

このお酒は、平成23年3月11日(金)の東日本大震災によって被災したお酒です。
純米酒を中心に大吟醸や純米吟醸など、発酵中のお酒が被害に遭いました。震災
直後、仕込み蔵は地震の揺れの激しさから、発酵中の醪(お酒)がタンクから溢れ、
床一面、白い絨毯を敷き詰めたのかと、錯覚するような情景でした。溢れ出た醪は
霧状になり辺り一面に立ちこめ、蔵の奥が良く見通せない状況で、目の前の光景を
疑いました。そして、溢れ出た醪が発生している音なのか、今までに聞いた事のない
ような音が蔵内にこだまし、まるで醪の悲鳴のようにも聞こえ、何とも言えない恐怖
感を覚えました。建物のいたるところが壊れ、立ち入ることが困難になり、同時にラ
イフラインが寸断し、発酵中のお酒の管理が出来なくなってしまいました。何の手立
ても出来ず、ただ、唖然と指をくわえて見守る日々が続きました。一週間が過ぎても
復旧の目処が立たず、発酵中の醪の全廃を覚悟してました。しかし、震災から二週
間目、電気など一部ライフラインの復旧などが重なり、諦め掛けていた醪を、遂に
お酒といて甦えさせる日々がやって参りました。ただ、放置している時間が余りにも
長く、垂れ口から搾りだされるお酒の品質がとても心配でした。しかし、我々の心配
をよそに、そのお酒のはとても力強く生命力に溢れ、我々に勇気と希望を与えてくれ
ました。本来の酒造りでは、如何に良い酒を造ろうかと凌ぎを削りますが、このお酒
のからは普段の酒造りでは味わえないを貰いました。蔵の有る宮城県石巻市には
この度の震災で、壊滅的な被害を受けました。 勿論、弊社も甚大な被害を受けま
した。しかし、被災した石巻市の惨状を見た時に、弊社は本当に生かせれたのだと、
強く感じるほか有りませんでした。普段の生活では感じ得ない。感謝の気持ちを強
く痛感させられ、造り酒屋として何か地域に貢献する事は出来ないか、自然に、そ
の様な気持ちが芽生えて参りました。そして、この気持ちを大事にしたいと考えるよ
うになり、この被災したお酒を震災復興酒として販売し、少ない金額になりますが、
売上金の一部を義援金として、私達の住む石巻市に献金したいと考えております。
 また、我々が励まされた、このお酒を通して、ご愛飲頂く全ての方々に希望の光
をお送りする事が出来れば幸いに思います。

                 (株)平孝酒造  店主謹白


気持ちが高ぶるのを押さえながら、この酒を飲んでみました。
喉にスッと落ちてくる時にえもいわれぬ香りと余韻を感じさせるこの純米酒は、
不思議な旨さを湛えています。「溢れ出た醪が発生している音なのか、今までに
聞いた事のないような音が蔵内にこだまし、まるで醪の悲鳴のようにも聞こえ、
何とも言えない恐怖感を覚えました」と書かれていますが、この酒を飲んだ時に
覚える感動は、平孝酒造さんの筆舌しがたい体験につながるものがあるような
気が致します。

”醪の悲鳴”は一瞬しか聞こえてこないかもしれませんが、この酒が語りかけて
来る物は、酒飲みの数だけあるかもしれません。多くの方がこの酒を賞味して、
自然の猛威にさらされながら、からくも生き延びた”醪の悲鳴”ならぬ”醪の声”
に耳をかたむけてみるのはどうでしょうか。


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